この現場、最初に訪問して目が点に・・・・・・。
丘の斜面に造成された宅地。その土留が木製って????信じがたい光景でした。
これってすぐにでも改修しないと、 土砂崩れになったら、また相当な改修費用もかかるし、
下のお宅にも迷惑がかかる。
実際杭は腐って、何本か脱落している状態でした。
崩れても下の家は離れていて、被害が及ぶような事態ではないのですが、それでも改修するには大変です。
この工事の難所は、
①なるべく下の家の迷惑にならないようにしたい(土をこぼさない)。
②奥の部分に材料を運ぶ工夫をしなければならない。
③全体の予算がない。
①に関しては、まず木の塀を残したまま、内側の土を浚うことにしました。
結構 高度感あり。足元の土が崩れれば、隣地にユンボごと転落する! 緊張感がありスリルある作業です。
②、③まずどんな構造を選択するか、です。
土留には、通常選択する工法として
・「コンクリートブロック積」
しかしこれは、現場の土留の高さが1400mm必要で、強度的に持ちませんので却下です。
・「コンクリート現場打」
・「L型擁壁敷設」
この二つの工法は強度的には 問題ないですが。コンクリート現場打ちでは、 型枠を隣地に入って敷設しなければならないのと、そのコストが大きい。またコンクリートのポンプ圧送も必要となります。
L型も大型クレーンでないと搬入できず、電線等の障害物も多くてこれも相当なコストになってしまいます。
材料を運ぶ手間も、フレコン袋を流用してユンボで吊って奥まで運び省力化。この工夫のおかげで相当コストダウンできました。
最終的に私が 採用したのが、「乾式擁壁ブロック」工法です。
擁壁ブロックというと、「間知ブロック積」が一般的ですが、これは裏込めコンクリートが必要で、これも大量のコンクリート圧送が必要です。
しかしこの乾式擁壁ブロックは、その名のとおり、積むのも補強のコンクリートも不要なのです。
製品の価格はそれなりですが、トータルのコストは一番安くかつ外装は化粧ブロック同様なので仕上がりも綺麗です。
ブロック同士が噛み合うようにできており、骨は鉄筋コンクリートではなくて「砕石」。裏込めも「砕石」。柔構造で、地震等にも強く。ひび割れもありません。一個一個独立してますからね。
ブロックを重ねて砕石を充填していくだけですから、作業は早い。わずか二日で7段積み完了! 安全安心な土留になりました。