旧日光市庁舎は、合併とその後の新しい地区行政センターの完成により、お役御免になるかと思われましたが100年ほど前の「お城風」建家が歴史的価値あり、と改修保存することになりました。
当社にその左官工事が下請けでやってきました。
補修箇所は、軒天と妻壁(矢切)の脱落箇所の補修です。
モルタル壁構造ですが、当時はセメントは使われておらず、現代では必須のラス網もありません。
木摺という板下地に、ツタを釘で止めて脱落防止とし、砂漆喰を塗りつけて作られておりました。
古式に従って・・・・できなくもないのですが。手間とコストが何倍もかかります。その予算はみていないようなので。現代の手法と建材で直します。
つまり木摺りにラス網をステープル打して骨とし、軽量モルタルを塗って下地とします。仕上げは漆喰を二度塗って完成です。
問題は工法でなくて、気温。
左官塗り、というのは通常気温がプラスでないとできません。薄く塗りつけることで普通の左官材料が硬化する前に、持っている水分が凍ってしまうからです。気温が少々プラスでも、下地が氷点下に冷え切っているということはよくある話で、こうした場合塗りつけるそばから凍っていきます。
旧日光市街は、この時期真冬日!!ということも多いのです。
なぜか公共工事は冬が多くて、困ります。
年を跨ぎましたが、寒波や降雪を上手くすり抜けることができて完成です。
アフター